絵子の縁側便り 7月号

2023年7月
谷合 公子

 今、大きな話題になっている生成AIのChatGPTに「がん患者会のホームページに7月に掲載するコラムのテーマは何がふさわしいでしょうか」と聞いてみました。1.夏の健康管理 2.サマーシーズンの食事 3.熱中症予防とケア 4.夏のレジャーガイド 5.心のケアとリラックス法 と提案してくれました。

 残念ながら私はこれらについて答えられませんが、「日本乳癌学会」のホームページにヒントがあります。「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年」には、乳がん診療全般とともに療養上の諸問題についても紹介されていて参考になります。一読されてみてはいかがでしょうか。

 「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年」

 今、短歌ブームがきていると聞きます。特に20代~30代の若い世代がSNSを舞台に投稿しているそうです。素敵なことだと思います。短歌というと学生時代に百人一首をテストのために暗記していたのを思い出します。そして大ベストセラーになった俵万智さんの「サラダ記念日」。“「この味がいいね」と君が言ったから7月6日はサラダ記念日”は、大好きな短歌です。

 記念日や忘れられない日は、誰にでもあります。私にとって忘れられない日は、2006年2月4日。息子の高校のPTA文化部主催で元NHKアナウンサーの絵門ゆう子さんの朗読コンサートがありました。絵門さんはコンサートの後、「乳がん」の体験を話して下さいました。さらにPTA誌に高校生宛てに「一日一日を精一杯生き抜こう」というメッセージを寄せて下さいました。その後絵門さんは、他界されましたが、当時購入した絵門さんのご著書「がんでも私は不思議に元気」はずっと大切にしていました。

 2009年12月24日に乳がんの告知を受けた私は、絵門さんのそのご著書に導かれて信頼できる主治医にたどり着きました。通院していた病院の乳腺外科のホームページに当時あった「患者さんに役立つサイト」でNPO法人ブーゲンビリアを見つけて2010年2月16日入会しました。その後、3月19日に乳がんの手術を受けました。術後主治医から夫に手術の様子や今後の経過についての説明がありました。夫は、術後の医師の手指が印象に残り「外科医の手指は、これほどまでに美しいものかと見入ってしまった」と話していました。その手指に私は、救われたのでした。

 3月26日に退院して、4月16日には、ブーゲンビリアのおしゃべり会に術後初めて参加しました。内田絵子さんやスタッフの皆さん、会員の皆さんが温かく私を迎えて下さいました。今、スタッフとして活動を続けていられるのは、この日の感謝があるからだと思います。乳がんになる前もその後も色々な人にお世話になり感謝しなければならないことばかりです。

 7月初めには、近所で夏の風物詩「朝顔市」が開かれるのが楽しみです。

「思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ」(俵万智作)

 どうか皆様お体を大切にお過ごしください。そして、夏の楽しい思い出がたくさんできますようにお祈りいたします。

Photo by 玉井八平氏(玉井公子副理事長父)