♪ブーゲンビリア第69号(通巻136号)2010年9月号より
暑い時間の向こうから蜃気楼のように携帯電話が鳴りつづけています。
受話器越しに届く乳がん患者さんの不安や迷いや心の痛みが、ひしひしと伝わってきます。
また、私自身も両手で抱えられないほどの思いを夫や息子たちに見守ってもらいました。そしてまた、友人や知人たちの温かなサポートのお陰で、どうやらこうやら乗り越えることができたのだと思います。
この乳がん患者さんからの電話は、今、私の出来るささやかな恩返しのように思えます。
シンガポール滞在中の出来事、真夏のクリスマスのがん告知から私の44歳の乳がん生活が始まりました。
「絶対!、元気になって日本へ帰る。高齢の父を残しては死ねない!」と心に誓い、自身の内なる生命力を高め、生きることへの様々な工夫をしました。
ことばのもつ力!! 生命の真理!! 心の持ち方!! 励まし!! を素直に受け入れ、支えてくれた家族や出会った人や本に感謝し、自然からのエネルギーを大事にしました。お役に立つかわかりませんがその当時の支えになった詩を2点ご披露いたします。
ながい間 からだが悪く うつむいて歩いてきたら
夕陽につつまれたひとつの小石が ころがっていた
敬虔なキリスト教徒で詩人の八木重吉さんの作品です。胸の病に冒されて29歳での若さで亡くなられました。自らの寿命を知り、孤独におちいりそうになった時・・・小石があたたかな日の光につつまれているのと同じく、自分の背中にも夕陽がやさしくあたっている・・・影を見て歩むのではなく、日の光のあたたかさを背中で感じ取りながら歩くことが大事であると・・・・。
「鳥は飛ばねばならぬ」 坂村真民さんの詩です。
鳥は飛ばねばならぬ 人は生きねばならぬ 怒涛の海を
飛びゆく鳥のように 混沌の世を生きねばならぬ 鳥は本能的に
暗黒を突破すれば 光明の島に着くことを知っている
そのように人も 一寸先は闇ではなく光であることを知らねばならぬ
新しい年を迎えた日の朝に わたしたちに与えられた命題
鳥は飛ばねばならぬ 人は生きねばならぬ
「生かされて生きる感動や喜びは、周囲との繋がりを再び得た時に身体中に広がる喜びが有り、命そのものである」と言われていますが、がんと向かい合ってそのことばを身を持って実感し、ストーンと心に落ちました。
私たちが自ら「治ろうとする力」や生きたいと願う「生きる力」は、物事を否定せず、ありのままに全てを受け入れようとする「肯定的な心」から生まれてくるのかも知れませんね。
残暑にも負けずにみんなで元気一杯の掛け声をかけて、秋の扉をあけましょう。
秋にはたくさんの楽しいことが待っています。おいも堀り・栗ひろい・梨もぎ・ぶどう狩り・さんま・松茸ご飯・きのこの炊き込み御飯・など等・・・豊穣の秋をたくさん美味しく頂いて元気がでたら、バザーに学習会・温泉旅行・リレーフォーライフ・・そして、「第4回アジア乳がん患者大会」が待っています。
2007年に立川のパレスホテルで第1回アジア乳がん患者大会を開催しました。
多くの仲間たちの身も細るような連係プレーのお陰で、無事大盛況の内に終わることができました。あれから4年少し年を重ね、くたびれて!? 否 経験豊になりまして「第4回アジア乳がんがん患者大会」を迎えることができ・・・これも生かされているからこそできる活動だと・・・しみじみと思う今日この頃です。
韓国やンガポール、台湾の乳がん患者さんをお招きします。今度はアジアのお仲間達からは、どんながん患者さんの希望に繋がるお話が聞けるのでしょうか。
今回は節約バージョンで、逐次通訳は万有製薬の方にご協力を頂けることになりました。あの素敵なスペシャルゲストも駆けつけて花を添えてくれます。
テレビでお馴染みの超党派の議員さん方もご出席いただけます。
当日手渡す「インプラントを用いた乳房再建の保険適用に関する請願署名」もブーゲンビリアでは、引き続き11月中旬まで集めていきたいと思います。重ねてご協力をお願いします。
お父さんの看病の合間をぬって、各国の乳がん患者さんへの英語連絡を鉢巻しめて頑張っている乃理子さん。チラシを安く仕上げたり、偽札作りのように2台のパソコンを駆使してのチケット作りに夜ごと励む公子さん。
たくさんの方に来ていただく工夫をしなくてはと張り切る清美さん、立川近郊の友人の動員リストに頭をしぼるミイさん。
一生懸命少ない予算を数えているこずえさん、前財務大臣の朝子さん、美恵子さんは、未だにブーゲンのお財布を気遣ってくれます。成功祈願をしている敬子さん、的確な事務仕事を支えてくれるプロの仕事人の洋見さん、邦子さん。
いつもの事ながら、無茶振りな雑務を笑顔でこなしてくれる勝木さん、体調不良を乗り越えて着付けを習わなければと、笑顔のこと子さん。
いざというとき地元パワーを発揮して、良い仕事をしてくれる由美子さん、洋子さん。
ご苦労さん会の声を上げてくれる真希子さん、文枝さん。頼りになる百人力の主婦の底力を見せるミチ子さん、美栄子さん、芙紗子さん。
大御所なのに縁の下の力持ちを受け持って、支えてくれる成田さん、辛島さん。
疲れた頃に惜しみなくエールを送ってくれる貴美子さん、浩子さん。
多くの下働きを黙々と丁寧にこなしてくれるスタッフの皆さん。
そして通院の合間をみつけてお手伝いくださるサポータさんの皆さん本当にありがとうございます。会員の皆様のご協力があればこそのブーゲンビリアの活動です。
会員さん一人ひとりが、自分の病が癒えただけではなく、次の新しい患者さんに向けての小さな気遣いや、思いや行動が、がん医療向上のための患者アドボカシー活動となって、確かな小さな実を結んで来ました。
これからが本番です。お金がない分、みんなで知恵を出し合い、普通の私たちだから力を合わせ、息を合わせ、楽しいアジア大会を作っていきましょう!!
微力ですが内田絵子も手をぬかず、真心込めて最後まで一生懸命がんばります。
ブーゲンビリアを支えてくださる多くの皆さま方、これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。