絵子の縁側便り 3月号

2024年3月
津根 静香

 異例の暖かい冬も終わり、もうすぐ春を迎えます。今年は皆さんにとって、かなり不安なスタートとなったのではないでしょうか。誰かと一緒にいたのではないかという、元旦の夕方の地震発生。今もなお寒い中、避難生活をされている方々も多くいらっしゃると思います、大学時代のサークルのかぐや姫先輩(仮名)は輪島市の朝市の近くに家がありましたが、自宅は全壊し、市役所の建物に避難した後、息子さんの家に移動したと言う連絡がありました。身近に人が被災者になると考えてしまいます。何ができるのだろうか?…と。

 コロナ前には2年に1回行っていた大学時代のサークルの同窓会、今年はできるのではないかと計画している矢先でした。同窓会と言っても夫婦や家族での参加もできます。だから、会うたびに成長している参加(同窓生)の子どもの姿に愛着があります。8年前、高校生だった桃太郎くん(仮名)の近況を伝えるメールが、金太郎先輩(仮名)から転送されて来ました。

 「ご無沙汰しております。お元気ですか?僕は今、富山市の災害拠点病院の救急科にいて、能登/県内から来る被災者の受け入れに勤しんでいます、研修中の身なので、後方支援しかできませんが、少しでもお役にたてていればいいなと。励みになる連絡をありがとうございます。金太郎さんに、いつかまた再会できる日を楽しみにしています」と言う内容でした。しっかり自分の夢を実現させ、しかも被災地で頑張っている桃太郎くんの姿に熱い思いを感じ、益々愛着が湧いてきます。今年は集まれなくても、近い将来に会いたいなあと思っています。

 人は困難に出会うと助け合いが生まれます。私達、がん患者もそうですよね。今年1月から統括理事長の絵子さんも活動の原点に戻り、内田自宅での「再発の会(リボーンの会)」を再開したところです。

 「ピアサポートは受容や共感されることの喜びが力になり、共に支え合う好循環を生み出します。誰かが何かしてくれるのを待ち、受け身になりがちな人が主体的に動き出すきっかけにもなります。健常者も当事者も同じ人間というピアサポートの考えが広がって、当たり前の(無意識の)価値になっていって欲しい。一人ひとりの思いがこれからのピアサポートを文化にしていくのです。必ずピアサポートは文化になります。こういう思いがつながり、ピアサポートを広げたりするものではなく、自然に広がるもので流行的にではなく、じわじわと穏やかに続くもの、ピアサポートと言う言葉を使わなくても、やがて文化になっていく。ただ、継続していかなくては文化になりません」

「ピアサポートを文化に!」 相川 章子著

 患者どうしでできることは、「継続」していくことが、大切だと再認識したところです。そして、同時に医療者とできること、それが「患者参画」ではないでしょうか。

 「患者参画」とは、「患者や市民が医療や研究に積極的に関わることです。患者参画には、患者が自分の病気や治療について自己管理や目標設定をすることや研究者が患者や市民の意見や知見を研究計画に反映することなどがあります。患者参画は医療の質や効果を向上させることとともに、患者の満足度や自己効力感を高めることが期待されます」とあります。患者になったからには体験を声にして伝えていくことが、今後のがん治療に対する使命ではないかと感じています。

 今年も昭和記念公園の菜の花、桜の花、そしてチューリップの花が咲く景色を楽しめることを幸せに思います。

Photo by 玉井八平氏(玉井公子副理事長父)