絵子の縁側便り 3月号
2023年3月1日
谷合 公子
このコーナーは、今年から統括理事長内田絵子と、副理事長の玉井公子(きみこ)と副理事長の谷合公子(ことこ)の三人交代で書かせていただくことになりました。 3月は谷合が担当します。 どうぞよろしくお願いいたします。
だんだんと暖かくなって、重いコートが要らなく、身軽に外出できるようになってきました。私は、近くの大学通りを散歩するのが日課です。気がつけばこの時期の桜並木は、蕾を付けています。日を追うごとにピンク色に膨らみ、今日か明日かとワクワクしていると、開花の日を迎えます。 桜が出てくる歌で一番好きなのが、松任谷由美の「経る時」です。この歌詞に出会ったから桜並木から目が離せないのかもしれません。
「経る時」 作詞者・松任谷由美
窓際では老夫婦が
ふくらみだした蕾をながめてる
薄日の射す枯木立が
桜並木であるのを誰もが忘れていても
何も云わず やがて花は咲き誇り
かなわぬ想いを散らし季節はゆく
気象庁はホームページで全国の桜の開花状況を公表しています。東京の平年の開花日は3月24日。昨年は3月20日でした。今年の春は、暖かくなる予想なので、昨年より早くお花見ができるかもしれません。
3月の季語に「卒業」があります。
私が小学5・6年生の時の担任の先生は、生徒一人一人の個性を認めて、長所を伸ばしてくれました。学級委員が生徒会に持っていく議題の賛否をクラスの全員でディベート。小テストは、教科書を見ながら回答記入してもいい。給食は、理由があれば残してもいい。休み時間にトランプゲームの「ナポレオン」を教えてくれました。生徒誰もが尊重されていたのでクラスは結束が強く、みんな先生が大好きでした。その先生が私達の卒業式の答辞に選んだのが、高村光太郎の詩「道程」でした。
「道程」 作者 高村光太郎
僕の前に道はない
僕の後ろに道はできる
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちにさせた廣大な父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄を僕に充たせよ
この遠い道程のため
この遠い道程のため
先生は、一歩を踏み出す事を授けてくださったのだと思います。「1月往ぬる、2月逃げる3月去る」などと言いますが、あっという間に時は過ぎてしまいます。春本番に向かって1歩踏み出すのが3月かもしれません。
写真:副理事長 玉井公子父 ・玉井 八平氏