絵子の縁側便り 2月号
2023年2月
玉井 公子
このコーナーでは「初めまして」。ブーゲンビリア副理事長の玉井公子(きみこ)です。今年から同じく副理事長の谷合公子(ことこ)と、内田絵子と三人交代で書かせていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
二月は如月、きさらぎ。皆さまはどんなイメージをお持ちでしょうか? 一年で一番寒い時期ではありますが、光の春という言葉があるように、この時期の太陽は気温の上昇に先駆けて光の力強さを増していきます。きさらぎ、という響きには、そんな光の雪や氷に反射したキラキラしたイメージを子どものころから持っていました。春を待つ気持ちにふさわしいと。
少し大きくなって如月というのは、寒いから「着る、更に着る」のでそういうのだと教わりました。
衣更着とも書くそうです。なるほどなるほど、二月は寒いものね、と思っていましたが、中学生になって西行法師の有名な和歌、「願わくば 花の下にて 春死なん そのきさらぎの 望月のころ」を習って?、と、なりました。
え? 如月の十五日に桜の花が咲くの? 旧暦だからひと月ちょっとずれるよね。でも、それじゃあ寒いから「着る、更に着る」必要はないんじゃないの? お花見の頃って分厚いコートから解放されてウキウキする頃なのに、なんで? と親に聞いたら「わからんことは広辞苑をひけ」と言われました。今でも家に有るその古い広辞苑には、こう書かれています。
きさらぎ【如月・衣更着】(「生更ぎ」の意。草木の更生することをいう。着物をさらに重ね着る意とするのは誤)(昭和44年第二版)
きっぱり誤とありましたが、冬枯れの草木が芽吹きだすと言われても、全く納得のいかない答えでした。当時はインターネットもなくくすぶったままになっていたのですが、この機会に調べてみました。
・陽気が更に来る月だから「気更来」
・春に向けて草木が生え始めるから「生更木」
・お正月に迎えた春が更に春めいてくる「来更来」
・草木の芽が張り出す月の「草木張り月」
どれもきさらぎの音に無理やり漢字を当てはめたようでピンと来ないと思いませんか? もう、詮索はやめて、子どものころのキラキライメ―ジのまま雅な響きを楽しもうと思いました。ちなみに如月と書くのは中国で二月を如としたのに由来しているそうで、音とは関係ないようです。
三日は節分、四日が立春。まだまだ寒い日は続きますが、日に日に元気になる太陽からエネルギーをもらって、コロナやインフルエンザに負けないで、お過ごしください。
立春から新しい年が始まるとの考え方もあります。これからの一年が良い年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。
写真: 昭和記念公園にて 父・玉井 八平