コラム

せっかく乳がんになったのだから ~患者アドボケイト活動~

第7号(通巻198号) 2017年4月1日発行

患者アドボケイト活動とは、医療向上を前提とした患者を支援するための具体的な行動・政策提言です。「救われる命が救われ、取り除かれるべき苦痛が取り除かれ、病気になっても病気と向き合って生きて行ける社会を、国民が力を合わせて実現していく」ことです。ヒト生物学研究の基礎である大規模ゲノムコホートの推進が揚げられています。

今日本の研究者たちによってすごいスピードで進んでいます。2003年に約30億塩基対のヒトゲノムの高精度のドラフトを完成させた国際共同プロジェクト「ヒトゲノム計画」の成功を受けて、遺伝的変異をマーカーとした全ゲノム解析による疾病関連遺伝子の探索が急速に進んだと言われています。

今後は、大きな集団を長期にわたって観察し、収集した生体試料から得られるゲノム・オミックス情報や生活習慣・環境曝露・行動・疾患の罹患と経過等、多様な情報を統合解析する「大規模ゲノムコホート」の重要性が改めて認識されたとのことです。すでに、英国、中国に代表される50万人規模の大規模ゲノムコホート研究が開始されています。また、米国では、2015年、オバマ大統領の演説で提唱された医療政策で、平均的な患者向けにデザインされていた治療を、遺伝子・環境・ライフスタイルに関する個人間の差異を考慮した予防や治療へと転換していくことを示した「プレシジョン・メディスン・イニシアティブ」の一環として100万人規模のゲノムコホート研究が計画されています。

日本学術会議で、2012年、「ヒト生命情報統合研究の拠点構築―国民の健康の礎となる大規模コホート研究」の提言を発表、2013年には「100万人ゲノムコホート研究の実施に向けて」という2度目の提言が発表されました。日本の国家事業として「100万人ゲノムコホート研究」に、みんなで声援を送りましょう。