♪ブーゲンビリア第78号(通巻145号)2011年6月号より

 何が起きてもおかしくない不確実性の時代を迎えて、不安を体感するような出来事にさらされている日常を私たちは過ごしているのではないでしょうか。

 歴史にはバイオリズムがあるといわれ、希望の時代、倦怠の時代、不安の時代、混乱の時代の時代をくり返してきました。今こうした不安の時代を生きなければならない私たちですが、ただいたずらにビクビクと不安に押しつぶされながら毎日をすごしていくのは、あまりにも知恵がないようにも思えます。

 あの釈尊は、生・老・病・死を、特に人生の四つの苦痛に取り上げられたといわれていますが、それはまさに人生には苦痛が多いといえるからでしょう。

 思い通りにならない「苦」に満ちた現実世界をいかに生きるべきか、そのために何が必要なのかを諭しているからにほかなりません。

 こうした大窮地に出会った時、一生に二度と出会うことのない大逆境に直面した時でも、希望に向かって人間は知恵を出し、心を寄せ合い、乗り越えていくことができる「生きる力」を神様から与えられているのではないかと思うことがあります。

 「苦難を嫌なもの、困ったものという捉え方ではなく

苦難は素晴らしいもの、人生を生き抜く上で不可欠なもの

人間性の向上につながり幸せに導く尊い教材のようなもの

苦難を未来をひらくエネルギーにしていこうとする人間の叡智にこそ、人が人として生まれてきた意味があると説く」

 こうした生きる力・生きる知恵は幾万もの先人たちのことばや行動によって証明され、私たちの道しるべともなっているのだと思います。

 生きる上で何が最も大切か・・・・・。

 「生命の大切さ、まごころ、自然への畏敬の念、人のやさしさ、家族の絆」等の情緒の共有は、どれも空気のように当たり前に存在するものとしてそこにあり、それより経済力、それより豊な生活、それより文化のある暮らし、それより快適な老後、それより、それよりと、自己中心的な思いや迷いが最優先されがちで、とかく人間関係や人との絆も保ちにくくなってきたように感じます。

 そんな不甲斐ない時間を反省しつつ、後半の人生こそ、夫と共に明るく、仲良く元気いっぱい、さわやかな人生を築いていこうと思う今日この頃です。

 大阪大学医学部環境医学の教授が一つの実験を阪神大震災後に行いました。 大震災で自分の住まいが壊れた人、肉親が亡くなった人、この人たちをその後の心境によって二つのグループに分けました。

 一つは大きなストレスに落ち込んでいるグループ、もう一つは肉親や知人の弔いを続けながら、人生を前向きに生きようととらえているグループです。

 それぞれのグループの人たちから血液を採取して試験管に集め、そこにがん細胞を入れてみて、その消失率の対比を調べました。

 前者のがん消失率21%、後者は42%でした。

 この実験からも明らかなように、心で考えること(思い)は、決して抽象的な概念ではなく、物質化します。身体の中で分子構造として物質に変わり、一つひとつの細胞や白血球に影響を及ぼすという結果がでました。

 古いデータですがとてもインパクトのある結論に、やはり心と身体は切り離せないものでつながっていて、感情の動物である人間は、寿命自体も心のあり方で左右するのではないかと確信しました。また「病は気からの」ことわざは事実だったのだと深く感心したことを覚えています。

 寿命が延びたのは現代医学のお陰ですが、人生は生きている時の長短ではなく生ある時の質が大切で、充実感を伴わなければこの世に生まれ来てよかったという実感がわかないのではないでしょうか。

 20年近く前のベストセラーですが、多くの方が「脳内革命」を読破され、当時から実生活に応用されていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

 梅雨入り宣言とともに、ながら雨だれ読書をはじめようかと、かび臭い本を久しぶりに開いてみました。

 以前もティータイムで取り上げたテーマですが、私の心の志向、興味の範疇が変わらないということで、ご一緒に思い出しながらお付き合いくださいませ。

 人間の脳は3つの部分から成り立っていています。

 損得しか考えない「原始脳」
 他人を承認したり、高度な働きを司る「人間脳」
 そして両者をつなぐのが感情をコントロールする「原始哺乳の脳」

人が満足を感じている時は、原始脳と人間脳のバランスがうまく取れている時だそうですが、イライラすると崩れる。それがストレスで、脳の中、脳内モルヒネが出る神経系があり、これをエー・テン(A10)神経、快感神経といいます。

 ここに刺激が伝わってくると、脳からみごとにモルヒネが出ることは、今となっては周知の事実となっています。