♪ブーゲンビリア第77号(通巻144号)2011年5月号より

東日本大震災被災地の皆様に心からのお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 跡形もなくふるさとや町が大津波にのみこまれ・・・・・一瞬にして失われたご家族、亡くなられた一人ひとりのいのちの重さ、いまだに行方のわからない万余のひとたち、突然消えた町、流された漁港や市場、崩壊した校舎、失われた職場、壊滅的な地元産業、医療や介護の断ち切れ、雇用問題、余震の不安や恐怖感、消えた家や思い出の品々等など・・・・・そして追い討ちをかけるような原発事故に放射能問題等にことばもありません。

 この未曾有の大震災にその恐怖や不安、悲しみや喪失感はいかばかりかと只ただ胸がつぶれる思いです。

 大変な思いをかかえながら復興に向けた懸命のご努力に心より敬意を表します。私どもも、微力ではありますが少しでもなにかお役に立てればと、ささやかな支援活動を継続させていただきます。

 一日も早い復興と健康を取り戻されることを心より願っております。
                           ブーゲンビリア会員一同

 「たのしいな かぞくみんなで ゆうごはん おかずはきのうとおなじでも」
                        しきなみ子ども短歌コンクールより

 なんと明るく、心温かくなる食卓の光景でしょう。子どもの弾んだ笑い声が今にも聞こえそうです。

 「孤食や飽食」の時代にあって、家族そろって笑顔で食卓を囲めることは、実は、本当にありがたいことではないかと思います。こんな平和で幸せな食卓の光景や大人への信頼の絆を、守ってあげなければいけないと感じる短歌でした。

 食べ物は人間だけでの力では決して造れないのですから、食事をするということは、自然からの恵みを身体に取り込んでいることなのです。大自然からまさしく命そのものを頂いて、私たちは生かされていることを強く感じずにはいられません。

 「この食事、つまり食べ物を食べると言う大仕事は、実は政治、経済、芸術、さらには宗教や倫理道徳などの根元である。(中略)ましてや人間の経済活動はその一から終わりまで食事を軸にして展開しているといってよい。食事の大切さを忘れてはならない。生存の根本を忘れるなと言う意味であり、生命の賛歌なのである」という壮大なメッセージに心動かされました。
                  ~ 食は根本より ~

 家族との食事時間があとどれだけあるのか分かりませんが。

 視覚も聴覚も年とともに衰えてきますが、五感のうち味覚だけは年とともに冴えてくるという定説を信じると確かに、人間最後の楽しみの「食べること」を神様はとっておいてくださったのだと、素直に喜びその恩恵にあやかりたいと思います。

 温かいものは程よく温かく、熱いものはグツグツと熱く、冷たいものはひやっとするほど冷たく、旬の素材を生かし、目で見て、匂いをかいで、季節を味わって、音を聞いて、感触をたしかめて、適切な量を・・・・・・・・相性のいい器にもって、一粒米一片菜一滴水を大事に、いのち全体を楽しんで感謝しながら頂く!! 適切な量で豊かな食事!! 良質で贅沢な時間なのでしょうか。

 会員のお仲間たちが、大自然からの「いのちの糧に心を添えて」美味しい食事から活力を頂き、病気が癒え、元気に毎日過ごすことができますように!! それぞれに「自分流の元気の元を見つけ、昨日より少し元気になる食卓」をめざし、「食べることは治ること」と楽しい食卓を囲んでいることを願っています。

 食後には、ゆったりとやさしい読書はいかがですか。

 「木を植えた人(男)」のお話をご存知でしょうか。「木を植えた男」という名前で活躍している競走馬をご存知かも知れませんね。

 50年前に書かれたジャン・ジオノの「木を植えた人(男)」の本とともに、その作品が紹介された「心の荒れ野に木を植える」の巻頭の一文をご披露いたします。フランスのプロヴァンス地方の町で過ごしたジオノは、アルプス山脈から冷たい北風が吹きおろす土地での体験をもとに、20年以上かけて本を仕上げたそうです。「87歳までの30年間、一人黙々とドングリの実を植えつづけた羊飼いの生涯のことは、知られることはなかった」のかもしれません。

 「荒れ果て、見捨てられた土地に、ただひとりでドングリの実を植えつづけた。かつての森を蘇らせようと、一日に百個のドングリを植えつづけた。誰からも頼まれたわけでもなく、誰に言うわけでもなく、ひたすら毎日植えつづけた。ドングリの実は、やがて大きなカシの木に成長し、広大な森が蘇った。小川が流れ、鳥がさえずる美しい森は、人々が移り住み、幸福に暮らすようになった。」

 作者ジオノは「ほんとうに世を変えるのは、権力や富ではなく、また、数と力を頼む行動や声高な主張でもなく、静かな持続する意志に支えられた、力まず、目立たず、おのれを頼まず、即効を求めず、粘り強く、無私な行為です」と、私たちに教えてくれたのです。

 考えてみれば、森は多様性の世界と言えるのでしょう。豊かな美味しい水、気候を和らげ、人を癒し、森林浴やパワースポット、大気を保ち、山崩れからも守ってくれるのですから、森にはたくさんのいのちが宿っているのですね。

 また、夜の森は「世の守」と書いて、人を幸せにするとも言われています。

 被災地に、夜の森「世の守」人を幸せにする森いのちの森が生まれ、樹木や草花が蘇る日が一日も早く来ますように。

 静寂な森の中に多くの小動物のいのちが息づき、色とりどりの鳥たちが歌い、蝶や昆虫が楽しそうに踊る恵みの森がよみがえることを心より祈りつづけます。