♪ブーゲンビリア第71号(通巻138号)2010年11月号より

 晩秋・後の月・栗名月・秋の暮れ・秋寒…、 四季のある国に生まれた幸せをお陰さまで今年も享受できました。朝方のうっすら寒い秋の空気を胸一杯に吸い込むと、何か神々しく山々をみごとに色づける季節がそこまで巡って来ていることを実感する毎日です。

 落葉樹の中でもひときわみごとな楓のその美しさが目に浮かんできます。紅葉前線が北から南へ、山頂から里へと移動してくる様を想像しつつ…、せめても美しい季語で、今年も晩秋を味わうこととします。

     この道や行く人なしに秋の暮れ
     去年より又淋しいぞ秋のくれ
     はたとわが妻とゆき逢ふ秋の暮れ

 秋の夜長と読書…。静かな深い時間を確保することは忙しい現代人とって至難の業ですが、草や木々などの大自然の絶大なるエネルギーを得ることと同じくらい、読書は自分自身の想像の力や自分自身と対話する魂の世界を広げてくれます。内なる自分を理解しようと努力することによって、友人や自然や環境との、より幸福な世界感が現れてくることを知る喜びにも出会えます。
①「病院選びの前に知るべきこと」 ~医療崩壊から再生に向けて~
  東海大学東京病院名誉教授 田島知郎医師 著  中央公論社 1890円

 田島医師が理想とする医療体制は、病気やけがをした人がいつでも短時間で病院に受け入れられ、ベストな診療がその病院で完結する体制だそうです。ブーゲンビリアの理想とも一致しますね。

②「妻を看取る日」 ~ 国立がんセンター名誉総長の喪失と再生の記録~
 国立がんセンター名誉総長 垣添忠生医師 著  新潮社 1365円

 奥様を肺がんで亡くされた悲しみから酒に溺れ、また立ち直っていく日々を綴ったこの本は、今悲しみのただ中にある人にきっと役に立つ一冊です。

③「水平線の向こうから」
 堂園晴彦著 葉祥明絵 明月堂書店 1680円

④「うまく使って、うまくかわす!怖くない抗がん剤」
 小倉恒子著 主婦の友社1155円

⑤「心がラクがずっと続くヒント」
 森川那智子著 青春出版社 1365円