絵子の縁側便り 2月号

2024年2月
内田 絵子

 如月は最も冷え込む寒い季節、福寿草が健気に寒さの中で黄色の花を咲かせていますが皆様お変わりございませんか。
 松竹梅は「歳寒三友」と呼ばれていますが、寒さの厳しい時節でもいつもと変わらぬ緑をたたえている松や竹、美しい花をさかせてくれる梅・・・なかでも梅は立春の頃に咲くので「春告草」という異名を持っています。まだ風は冷たく、春の兆しを感じることはできませんが、でも梅の花が、清らかな香りでやさしく春の到来を知らせてくれる春便りをみなさんも心待ちにしていることと思います。

 「万葉集」で桜を詠んだ歌は40首程度で、「令和」の由来となった歌を始め、梅は約120首もあるとか、梅は古くから日本人の身近な花ともいえるのでしょうね。
 かつて、みなべ地方の土地は稲作に不向きで、自生梅しか育たなかったそうです。江戸時代初期、紀州田辺藩はその一帯を免税地にして梅栽培を広げました。やがて、この地で作られた梅干し「紀州梅」は江戸で人気になったそうです。
 今でも、紀州梅、南高梅として日本人ご飯のお供、健康の必需品として愛されてれています。また、梅干しは食用以外にも戦場での消毒、食中毒や伝染病の予防等にも用いられてきたのですから有りがたい食べ物のひとつですね。
 「一目百万香り十里」といわれる南部梅林・・・山の中腹に梅林、尾根周辺には照葉樹林が広がる和歌山県のみなべ町。昔から梅を漬け、炭を焼く里山の風景、こうやって野山の恵みは代々にわたって受け継がれていくのですね。香り十里に誘われて訪ねてみたい里山の一つです。

 建国2684年目となる日本は、現存する世界最古の国といわれていますが、あまりなじみのない2月の建国記念日ですが、ありがたいことと「再発見日本」を感じてみたいと思うのは年齢のなせるわざでしょうか。
 ちなみに「国魚は錦鯉」で、生きた宝石・泳ぐ藝術品と評され、争うことがないので平和の象徴とされているそうです。「国鳥は雉」で、狩猟鳥としても馴染み深い日本の固有種で、オスは勇敢・メスは母性愛の象徴とされています。「国石は翡翠」で、古来より石器や宝飾品に利用されてきた不老不死のパワーストーンとしても知られています。「国菌は麹」で、味噌、醤油、米素、みりん、日本酒。発酵食品は日本食に欠かせませんが、今では世界で人気の健康食品ですね。

 この国に生まれ育ち、この地に暮らしていましたが建国記念日に「ザ日本人・再発見日本」を感じてみるのも意味のある楽しいことではないでしょうか。
 私が、日本の原風景として魅かれるのは、風雪に耐え威風堂々と大地に根を張る天然林・巨樹・巨木の姿。その写真をみるだけでも心が揺さぶられ思わず襟を正したくなります。
 「屋久島の霧の中の縄文杉(樹齢3000年以上)・西表島のサキシマスオウノキ(樹齢約400年)・徳島の加茂の大クス(樹齢1000年)・青森の十二本ヤス(樹齢800年以上)・兼六園の雪の根上松(樹齢不詳)・伊勢神宮参道の杉(樹齢293年)」等など。威風堂々と生き続ける巨樹に出会いたいものですが、写真を通しての姿でも私たちを圧倒させる力は、数百年、数千年と何世代にもわたり風雪に耐え、大地に深く根を下ろし生き続ける老樹の生命力は建国2684年の神秘の時間が・・・・・今生きている私たちの中に繋がり宿っているからかもしれませんね。

わたしたちは、なん百年都も生きることはできませんが・・・・威風堂々と自身の生をいききりましょうね。寒いですからお風邪などひきませんようお大事になさってくださいませ。

再発リボーンの会について詳しくは こちら をご覧ください。

Photo by 玉井八平氏(玉井公子副理事長父)