絵子の縁側便り 12月号

2023年12月
津根 静香

 1年を振り返る月になりました。5月にコロナ禍の規制が解かれ元の暮らしが徐々に戻ってきているようですが、皆さんはいかがでしょうか?今年は夏日が長く、立冬まで暖かい日が続きました。

 短い秋となり、気持ち的に満喫できずに冬を迎えています。

 コロナが収束の頃に始めたのは、ハイキングクラブへの加入です。(縁側便り4月号で、少し書きました)ハイキングと聞くと、なだらかな丘や草原を心地よい風を感じながら、楽しく歩くイメージがありませんか?私もそう思っていました。「お試しハイキング」に行ってみてから…と言われ参加してみると、急な坂道もあり、久しぶりにアキレス腱が伸びる感覚や、脚の筋肉痛を感じ満足感がありました。クラブと言う名のとおりグループで行くので安心感がありで、のんびり、ゆるい感じの低山山行です。登りは得意だが下りは苦手な方、いやいや登りは心臓にキツいでしょうと感じる方など様々ですが、私はと言うと狭い道幅の斜面が不得意です。でも前を歩く人がいると「私も大丈夫!」と強い気持ちになれるのが不思議です。

 メンバーの平均年令は70歳前後だと思われるのですが、皆さんとても健脚で10~20年近く続けられている方が多いようで、リーダーは70年前から山行されているとか。参加申し込みが、前日まででよいと言うのは継続していくのに魅了です。とはいえ、天候による中止連絡は、自然相手なので当然であり仕方ないのですが、出かける準備していたのに…と何度残念な気持ちになったことか。計画的に物事を進めたい性格の私としては、諦めが肝心、気持ちの切り替えが大切だと学びました。「非日常を大切にする!」と言うリーダーの言葉が、1年経って少しずつ実感としてわかってきました。

 準備するもの、道具は大切です。命を預ける意味もあるので、慎重に選びたいのは靴。本当は履き比べをしたいのですが、決して安いものではないので難しい。次にザックでしょうか。背中にフィットする形や、腰や胸にバンドがあると楽であると言うのは実感あり。そしてウエア。オシャレも大事ですが、機能性を重視です。防虫性のある素材は魅力的ですし、軽量、発汗性、保温性もポイント高いですよ。後は、コンパクトにザックに収まるかも重要です。

 毎回、山行では知らない草花に出合います。メンバーから聞いた、耳から入ったカタカナの名前はなかなか覚えられませんが、2つは記憶に留めておこうと努力しています。花は派手な色や形ではなく地味に咲いていて、子孫を残し、増やし、雨や風だけではなく、動物にも負けず、そこに生き続けているたくましさは、スゴいなあと思います。樹木の成長となると、更に長い年月を費やしている訳で…それだけで尊敬に値すると感じています。苔の群生も時を感じ、まさに「もののけ姫」の世界は存在します。

 年一回の山小屋で過ごす山行は、人間の原点を思い出させてくれます。水はとても貴重!音のない、真っ暗な夜をすっかり忘れていました。北八ヶ岳の縞枯山荘での真夜中に見た、天の川や金星などの星空、そして月の明かりで写し出された山のシルエット、景色の神秘さは忘れないでしょう。そして突然、鹿のかん高い鳴き声が山じゅうに響き渡った時にはとてもビックリしました。今年は、熊の出没の報道が多くされました。気候変動により山での食べ物が不足しているためですね。また暖かい冬になると、冬眠しないようになるのかもしれません。そんなこんなのハイキングクラブは、新しい世界を見せてもらい、楽しい時間を過ごさせてもらっています。来年はどんな山行が待っているでしょう。

皆さんも、何か新しいことを始めてみてはいかがでしょうか?

年の瀬、何かと忙しいとは思いますが、気分転換に考えてみませんか?

少し早いですが、来年もよろしくお願いします。

Photo by 玉井八平氏(玉井公子副理事長父)