コラム

せっかく乳がんになったのだから ~患者アドボケイト活動~
医学書は過去の医学であり、目の前に悩む患者の中にこそ医学書の中身があるのでは

第5号(通巻196号) 2016年9月1日発行

前号でご紹介したソレル・キング氏著書の「ジョージィの物語」、皆さんお手に取られたでしょうか。小さな女の子の死が医療にもたらした大きな変化として世界中で推奨されている1冊です。

医療事故により1歳半の娘を失った一人の母親の喪失と再生の物語。全米の病院ランキングでもっとも評価の高い病院の一つ、メリーランド州ボルチモア市にあるジョンズ・ホプキンス大学病院(2007年、サバイバー相互支援プログラムを知りたくて乳がんセンターを訪問)で起きた医療ミスに対し、著者は壮絶な怒りと悲しみから立ち上がり、「ジョージィ・キング財団」を設立、医療界全体の安全と安定・安心を考える目を開かせ、失敗をもたらす複雑なシステムそのものを変えていく必要性があると…、米国の医療を変えていった。