♪ブーゲンビリア第116号(通巻183号)2014年8月号より

暑中お見舞い申し上げます。

 暑い日が続いておりますが、皆様にはお変わりなくお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。

 それにしても暑い日が続きますね。涼への演出も、工夫もどんどん消えて行く時代ですから、江戸の夏、エコライフをのぞいてみたいと思います。

 粋に涼しく、江戸時代の夏! 庶民はどのように涼を感じていたのでしょうか。

 優雅に泳ぐ金魚、路地に撒く打ち水、夕涼みの縁台、うちわで仰ぐやさしい風、蚊帳の中の蛍のひかり・・・・・350年前の庶民の夏の暮らしぶりはどんなものなのでしょうか。

 作家の石川英輔氏の談話「粋に涼しく 江戸の知恵」より。対談の一部ご紹介します。

 暑いときには熱い物を飲む、暑さを上手に取り入れた時代。

 江戸庶民の暑気払いといえば「日の出とともに起床し、日没とともに床に就く」スローライフの暮らし。

 夏はどこにいっても暑いから基本的には我慢するしかなかったんですね。

 武家屋敷のような風通しのいい家ではなくて、庶民の大半が風通しの悪い長屋住まいだったから、家の中にいるより外にいた方がよかった。日暮れとともに商売を終えて店の前に縁台を出し、家族と涼んでいた。

 また、江戸の人は食べ物を冷やさなかった。冷やす場所や技術がないせいもあり「そうめん・スイカ・まくわ瓜」も冷やさない、夏冷たい物を食べるのは、胃に悪いとわかっていたのでしょう。食中毒の心配もあったのでしょう、冷やさず食べるのが常識。

 暑い時こそ稼ぎ時と、「虫売り」スズムシ、マツムシ等の虫や大小さまざまな虫籠を置いている店もあり、賑わっていたそうな。・・・・ 略 ・・・・。

 冷房機は冷やす機械でなくて、全体としては冷やした以上の熱を発生する「暖める機械」だから、我々は部屋を冷やしながら、みんなで街を暖めている。

 冷やす機械はないですね。生きているだけで石油・石炭・天然ガスと言った化石燃料を毎日、一人当たり十万キロカロリー使っていて、石油だけで換算すると10リットルにもなるそうですが、それに引き替、江戸時代の人はほぼ0キロカロリーで生きていた。

 江戸時代と言わずとも昭和30年代と比べて、日本は全然似ても似つかない社会になってしまい、節電しないと計画停電するぞって驚かせられないとダメですね。若い人々ほど、このまま食いつぶしていたら大変なことになると気づいて、見直そうとしています。そうなってくれないと困るんだ。彼らが一番被害を受けるからね。

 僕らが江戸から学ぶことはただ一つ。なるべくエネルギーを使わずに暮らせる世の中に仕組みを組み替える以外にしょうがないですよと、石川氏はお話をむすばれました。

 じっとしていても暑い、クーラーばかりでもと窓を開けるが熱風が部屋に入り込む。それなら「江戸風打ち水」をと、玄関ドアを・・・・夕方に打ち水をすることにしました。

 昔々の書きかけのノート、原稿やメモの山を片付けようと思い立ち押し入れの「何でも絵子箱」をあけました。「出てくる、出てくる、面白いメモ、古いホチキス止めした切り抜きの数々」20数年前の切り抜きに目を奪われました。真夏の余興に一部抜粋してご披露いたしますね。皆さんの「なんでも箱」は何が詰まっているのでしょうか。

 「目の動きをみることで、心の動きがわかる、それは時に、言葉より雄弁に思いを伝えしまうものだ。情報を得るという感覚機能だけでなく、コミニュケーションにも大きな働きを示す目に、現代社会の歪みをみることもできるようになった。」

 「目は心の窓・目から鱗が落ちる・百聞は一見にしかず・目は口ほどに物をいう」  眼は視覚をつかさどり、コミニュケーションに大きな働きを示すだけでなく、私たちの命に連動する器官であり、言葉以上に雄弁に思いが伝わるのは皆さん実証済みですよね。

 眼の表面にみられる異常、痛みや不快感から発見されるのは、目の病気だけにとどまらず、高血圧、糖尿病などの成人病・脳・視神経の病気が眼の症状から初めてわかることも少なくないそうです。「眼の前に広がる世界を歪むことなくありのままにとらえることから、ともに生き、共に栄える心が育ち、いきいきと輝く澄んだ眼は、心も身体も健やかに生きている証だそうです。本当に目は心の窓ですね。

 臨床心理学を専門とする福井康之教授は「まなざしには攻撃と慈愛の二面性があります」と言われます。動物界では「見つめる」ということは「攻撃」を意味するそうで、それは人間にも同じことが言えて、本来見つめることは敵意の表れなのです。どうして、人間のまなざしだけが攻撃だけにとどまらなかったかというと、「人間のまなざしに二面性があるのは対面授乳するからだ」と英国の社会心理学者のアーガイール先生は言われています。

 母親が幸せ一杯の気持ちで赤ん坊に授乳するときに対面、それによって、まなざすことがやさしさや親しみと言ったコミニュケーションと結び付くそうです。だからまなざしには「本来の攻撃」の意味と「後天的に学んだ慈愛」とがあるそうですが神秘の世界ですね。

 対象に敵対感情を持つと交感神経が活溌に活動し、血流、呼吸、筋肉にも緊張が見られ慈愛の場合は、相手を受け入れようとする気持ちが働くので緊張は緩み、目の輝きがまし表情に温かみが生じ親しみやすい雰囲気を作り出すそうです。こころの持ち方次第で自律神経系の分泌物が身体器官に感情表現されるのですね。黄色い切り抜き記事が語りかけてきます。

 私たちの目の前にはいたるところに美がころがっているそうです。心の中に住む「美しく見る眼」を育てていきましょう。きっと新しい世界がひらけていくことでしょう。