絵子の縁側便り 8月号
2026年8月
津根 静香
今年もあっという間に半年が過ぎ、暑い暑い夏がやって来ました。体調を崩していませんか?何をするにも汗がでて嫌になり、外出を控えがちになりますね。
告知から13年、手術したのが8月なので14年目に入ろうとしています。と言うことは、ブーゲンビリアにもその位の期間、お世話になっているということです。
医学の進歩に伴い、治療方法も大きく変わりました。と共に薬の種類も増えました。海外とのドラッグラグがあるとは言え、日本に住んでいて良かったと思います。しかし、人には寿命があり、必ず死が訪れます。病気になって寿命を意識するようになりました。そしてどう生きるかを考えることは特別ではなく、当然だとも知りました。病気に関わらず、人にとって苦難があると誰でも考えてしまうのでしょうね。
- 虫の目、鳥の目
この言葉を聞いたのは、ブーゲンビリアに入会して程なく理事長の絵子さんからでした。とかく治療に専念するようになると、悲しい、苦しい、痛いなどばかりに気持ちが行きがちですが、そればかりでは辛さからは解き放されない、「虫の目」になっているからです。だから時には「鳥の目」になって遠くから、俯瞰的、客観的に自分を見たり、物事を考えるようにすることが大切だというのです。なるほど~!と思いました。
- からだの細胞は一日として同じではない
この言葉は、とある都立病院内で行われているがん患者サロンでのファシリテーターが、「再発されたがんの治療薬がない状態、無治療で7年以上も生きていて、悟ったというか、そういう境地である」と話されました。寝る前に自分のからだに「今日も一日ありがとう」と。朝起きた時には「今日も一日よろしくね」と、からだを触れながら、感謝の言葉を口に出していると言うのです。からだの細胞だけではなく、日々の暮らしも決して同じ日は一日とてありません。
- 時薬、人薬
この言葉は、精神科分野の雑誌を読んでいて知りました。今でこそ精神の病気は「脳の病気」だと認識されるようになりました。病気のひとつなんです。がん患者以上に、長いお付き合いをされている人も多いのではないかと思います。だとすると、医療的な薬ばかりではなく、この「時薬(時間が必要)」と「人薬(人との関わりが必要)」は、なかなかの特効薬かもしれません。
物事は知らないと怖さが増すし、知っていると心に余裕ができ、判断ややるべきことが見えやすくなると思っています。そういう意味でブーゲンビリアの講演会や勉強会では、さまざまな科の医師から、常に最新の医療情報と知識を頂きました。
「乳腺外科」だけではなく、「腫瘍内科」「緩和ケア科」「腫瘍精神科」「心療内科」「形成外科」…。更に座談会やシンポジウムを通して、患者の立場からの発言、専門職との意見交換ができ、「鳥の目」になることができ、ありがたいものでした。
ブーゲンビリアでのおしゃべり会は「人薬」そのものでした。病気を通して、その方のここまでの人生を知ったり、気持ちの変化を感じ取ったりします。「なぜ、がんになったのか…」「なんで自分だけががんになったのか…」と落ち込んでいたけれど、そんな気持ちを吹き飛ばし、驚かない、冷静に話ができる、聞けるというすごい能力を手に入れているように思います。皆さん、患者力を高めているんです。最初は、自分のことがなかなか話せなかったり、涙していた人も、会の終わりには笑顔になって帰って行かれるのをみると、ピアサポートの冥利に尽きます。
今や、患者会の役目は良くも悪くもAIに取って変わるかもしれません。昭和、平成、令和と生きている患者にとっては、ブーゲンビリアの存在に感謝一杯です。
ここからしばらくは、暑い日々が続きます。お体をお大事にお過ごし下さい。
Photo by 玉井八平氏(玉井公子副理事長父) 東京都薬用植物園にて

