絵子の縁側便り 1月号

2026年1月
津根 静香

 謹んで、新年明けましておめでとうございます。
2026年が始まりますが、皆様にとって、昨年はどのような一年だったでしょうか?

 私事ですが、新しいことを始めることはできませんでしたが、今までやってきたことを深められたかなあと思っています。それは、(以前の縁側だよりに少し書きましたが)もうひとつ別のハイキングクラブに入ることにしたのです。所謂、掛け持ちです。目的は同じでも、リーダーの考え、メンバーの意識が違うとこうも違うものかと感じているところです。
 男性が多い別のクラブでは、山行はもくもくと歩き、距離や高低差、タイム等を気にする傾向がありますが、女性が多いとお喋りしながら、草花を愛で歩く傾向。どちらもシニア層のメンバーのクラブですが、今の時代、仕事を完全にリタイアしたメンバー、また仕事をそれなりに続けているメンバーもいるので、平日か休日に計画するかでも、メンバーの集まりは変わってきます。山行を始めた時期は同じでも、既に体力差はありますし、興味度が強いか、弱いかで更に違っていきます。それでも「健康維持と向上」は、きっと共通の気持ち、私もそれが入会の理由です。
 ホルモン剤服用の副作用と共に年齢相応の骨粗鬆症へのダブルリスクがある中、一年一回検査している身としては、若干でも数値が上がっていた昨年の検査結果は、とても嬉しく思いました。山行を続けている甲斐があるというのでしょうか。実際、背中や腰、股関節、膝などの不具合を調整し、全身のバランスを正しているように感じます。一ヶ月に2~3回行っていると、次の日の筋肉痛的なものは起こりません。昨年の夏は、早い時期から大汗をかいていたので、本格的な暑さにも順応できていたようにも思います。
 以前は集合時間が朝早いと少々ストレスとなっていましたが今はより早い方が非日常、特別な時に入る感じがして好きなのです。更に、私の身近にはない、空気の良さ、風の流れ、空の広さ、木々の匂い、そして時として無音の世界。ただただそんな中を歩くことが心地よく、ランナーズハイに似た感覚なのかもしれません。
 同じ山に行っても、その季節、ルートが違えば、山中や山頂からの景色が違うのは当然のこと、決して二度とないものがそこにあります。しかし、山は存在し続けている、不動のものです。もっと若い時に出会いたかった趣味となりましたが、なかなか自分一人で行く勇気はありません…そうです!近年はクマの出没が多く、大きな社会問題になっています。山に入るハイカーは何事も自己責任と言われています。グループで、鈴を鳴らしながら、昼間の時間帯に歩くようにはしていますが、今時のクマには通じないかもしれません。
  新しいクラブには、人間関係を始め、組織や運営もわからないことばかりです。LINEでのやり取りで始まり「調整さん」で参加申し込み山行計画書が届きます。当日は地図を持たずにスマホアプリ利用で歩くリーダー。そして、終わると参加したメンバーから会員全員に送信される写真アルバム。これから行く山のYou Tube映像が情報共有としてスマホに送られてくることなどお腹一杯なのは、私だけなのか…を確かめることは当分ないと思いますが、自分なりに関わっていくことは大切かなあと思っています。
 昨年行った山で印象深いのは「鋸山」です。都心から電車に乗るとだんだんと山だけではなく、海(東京湾)も見え、線路も単線に、小さい屋根のない駅となり、駅前にはお店もなく…昭和にタイムスリップした感覚がありました。石切場跡が多々あると言うことは、鋸山は石山。「日本寺」の門をくぐると、岩壁に「百尺観音」が現れビックリ!更に上を見ると「地獄のぞき」に立つ人々。頂上の展望台からは東京湾と富士山も見え、素晴らしい景色でした。下っていくと、次は日本一大きい石の「大仏」さまが現れました。
 山好き…福島県出身の方には知名度が高いと思いますが、映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」を観て、私は遅まきながら田部井淳子さんのことを知りました。エベレスト女性初登頂を通して、当時の山事情だけではなく、50年前からの日本女性の社会進出、変化を強く感じずにはいられない実話でした。女性だけのグループが何か実行しようとする時の大変さは、30年前に発足したブーゲンビリアの活動の内外にもあったのではないかと察しています。そして、映画の後半では、がん治療に対する「あるある」が描かれており、治療方針の自己決定や家族のサポート、ターミナルケアが描かれていますが、とても淡々冷静でひとつの形として観ることができました。がんになっても、自分ができることを考え続け、行動する力は凜として美しいと思いました。山に登っていると常に生死と向き合っているからでしょう。登山に対して「自分自身の満足のため」から始まり「福島の子ども達を勇気づけたい」という思いで終わることに、「山に登ること」には本当に不思議な力があると思わずにはいられませんでした。
  今年の意気込みとして「○○山登頂!」と言いたいところですが、ゆるゆる楽しく歩こうというくらいが良いかなと思っています。天気に一喜一憂しながら、自然と向き合う山行が続けられますように。いくつの山を歩けるかな…と楽しみです。

 皆さんも年の初めを機に何か新しいことを始めてみませんか?何歳になっても好奇心さえあれば、始められるでしょう。何らかの刺激をうけ、暮らしてみませんか。
 寒さやインフルエンザ流行などもありますが、体調に気をつけながら、お過ごし下さい。2026年の始まりです!今年もよろしくお願いします。

写真:玉井八平氏(玉井公子副理事長父)