絵子の縁側便り 7月号

2025年7月
 玉井 公子

 雨が降れば蒸し暑く、晴れれば30度声の真夏日という体に厳しい日々が続いていますが、体調にお変わりは無いでしょうか? まだしばらくは梅雨とお付き合いしなければなりませんが、この時期雨が降らないと渇水になり、ただでさえ高くなったお米の作柄にも影響が出ますので、今しばらく我慢いたしましょう。明けない梅雨はありません。

 「晴雨時に適う」という言葉が有ります。お天気も良くて、適当に雨が降って穏やかに季節が循環していく、そんなイメージかと思います。最近は平年値を大きく超えたとか、災害が増えたとか大きく取り上げられていますが、昔から大雨や干ばつの記録は多数有り、何年も干ばつが続いたとか、冷害で作物が育たなかったとかで飢饉になったという記録が残っています。今年こそは災害の少ない年になってほしいと毎年願っていますが、気象観測衛星や雨雲レーダーの無かった時代に、その願いは今よりはるかに大きなことだったと思います。

 気象衛星などのほかにも現代人はお天気に対する便利な道具を手に入れました。大きなものとしては空調設備でしょう。温度や湿度をコントロールでき、夏でも冬でも快適に暮らすことができます。うちのおじいちゃん猫も、クーラーが無いと心臓に負担がかかり呼吸が困難になってしまうので、年中お世話になっています。私には、ちょっと寒い25度キープです。
 また、小さなものでは冷感グッズがたくさん出ています。手持ちの扇風機やネッククーラーなど、若いコたちはおしゃれグッズのように利用しています。
 寝具や下着にもひんやり触感のものや通気性の良いが増えました。扇風機の付いたベストは外で働く人には欠かせないものとなっています。まさに文明の利器といった感があります。

 ここで一つ、大きな問題があります。テレビなどで高齢者が熱中症で亡くなるというニュースをご覧になったことがあると思います。クーラーがあるのにつけていなかったと。電気代が高いから、節約していたのかしら? いえいえ、高齢になると暑さを感じにくくなるようです。私も90代の父と暮らしていましたが、元々暑さには強い父だったので、「暑いと思わへん」と言って、なかなかクーラーをつけようとしませんでした。「ネコがしんどいから早めにつけてよ!」「はいはい」…。
 高齢者は冷感グッズにも無頓着だし、のどの渇きも感じにくくなるようですので、身近にいらっしゃる場合は、気を配ってあげてくださいね。冷たいジュースを渡すよりも、スイカやトマト、キュウリなどの水分補給もできる食べ物が良さそうです。ビールは水分と思っている方が多いですが、アルコールは分解するのに体の水分を使うので、お水の補給が欠かせません。ご注意を(自戒を込めて)。

 暑いからと言って、冷やし過ぎも良くないですよね。外へ出た時との気温差も大きなストレスになります。汗をかくことも大事なので、朝早くや夕方など、比較的涼しい時間に外へ出て買い物やお散歩して、適度に汗をかくことも体に良いようです。体に良いからこれをしなくちゃ、ではなくその日のお天気や体調に合わせて柔軟に対応していけばよいかと思います。

 梅雨の晴れ間、雨に洗われた木々の緑。紫陽花、露草、花菖蒲。忍冬や梔子の甘い香り。青々とした早田をついと飛ぶツバメ。虹を見つけると何かいいことがありそうな。
 梅雨が明ければ合歓の木、向日葵、百日紅。入道雲、花火、夏祭り。
 夏には夏の楽しみ方があります。いやだいやだと思っていては、免疫力も下がります。文明の利器を上手に医療して、暑い季節を乗り切っていきましょう。

 写真は夏に花を咲かせるナンバンギセルという寄生植物です。まるで競馬のゴール寸前のようで、「ハナの差」というタイトルが付けられた、父のお気に入りの一枚です。昭和記念公園の盆栽園での撮影です。

Photo by 玉井八平氏(玉井公子副理事長父)