絵子の縁側便り 11月号

2024年11月
津根 静香

 11月となりましたが、ほんの少し前まで、昼間は半袖で過ごせる気温でした。短い秋を迎えています。地球温暖化は確実に進んでおり、猛暑や豪雨などの異常気象が世界の各地で起こっています。人の体温よりも高い状態で生命体はどうなるのか…これからは未知の環境になるのではないかと思います。大きな不安を抱え、暮らしていかなければならないのか…感染症ではないにしても、人の暮らしに何かしらの影響があるであろうと危惧されます。
 しかし、ある番組で、フィリピンの洞窟に暮らす原住民、二ジュールの砂漠で岩塩を採掘しラクダと遊牧する塩キャラバンを見た時、人のたくましさを感じました。快適な暮らしができるように技術革新を進めてきたのですが、相手は自然です。コントロールするにも限界があることを感じずにはいられません。

 今年は、富士山観光客や登山者の話題が、いつもより多くあったように思います。河口湖駅付近で起こった写真撮りの迷惑行為とそれを阻止する対策。登山に対しては、通行料を取ることを決めた山梨県側と、取らない静岡県側。5合目までのスバルラインの道をLRT(Light Rail Transit)にする構想があるということ。どれもこれも、私には心がざわつき、しっくりこない話です。ある方が「富士山への道はハイキングではない。富士山は信仰の山であって観光地ではない」と言っているのを聞いて、「そうだぁ1」と共感。世界遺産に登録されることは、そのものを保護、維持するものだと思っていますが、違うのでしょうか。どうか富士山~怒って、噴火しませんように。

 少し時は戻りますが、「ドキュメント72時間 中国がん専門病院路地裏の貸し台所」というテレビ番組があり、これも現在の医療現場なのかと心に響くものがありました。隣に立派な高層ビルの病院があるのだけれど、患者の食事は提供されず、患者本人またはその家族が作るという状況に唖然としました。治療にお金がかかり、家族は治療費を稼ぐ為にいないので、患者、自ら作る。子どもが学校に通わないで作る。「食」の力を感じましたが何とも言えない複雑な気持ちになりました。貸し台所の近くには市場があり、そこから食材を買って来て作る。順番があるような、ないような…みんな平然と流れるように無駄なく場所と時間を使っている様子に圧巻。これが患者同士、家族の心の集結、一団となっている姿なのかと、清々しさ、凜とした強さを感じました。

 話があちこちに飛んでいますが、最後は現実に戻って…。「最近ハマっていること、押しはなんですか?」と聞かれて、何も浮かんできませんでした。その時に思ったのが答えではなく、どうして答えるものがないのだろうと自分の暮らしを振り返る機会を得たように感じました。

 毎日、何となく時間は過ぎていきます。仕事、ボランティア活動、趣味などで昼間は出かけ、夕方からは社会情勢、世間話についていけるようにとニュース番組を見ていると、あっという間に寝る時間になってしまうのです。今の日本は、平穏、平和な時代です。何ひとつ物事について深く考えていないと反省し、立ち止まる…そんな時間を意図的に作らなければと、年の暮れに向かい思っています。物事の進む速度がひと昔よりも早くなり、情報が簡単に入ってきて、選択肢が以前よりも多くなり行動するまでに時間がかかる。歳を重ね、時間を要してしまうのは仕方ないのですが。
 今年は、皆さんにとって、どんな年でしたか?そして、来年はどんな年にしたいですか?

何より、体調管理が大切です。多くは望みません、体調、体力は現状維持。乳がんの告知をうけた巳年から、干支は一巡し、来年は還暦を迎えます。

写真:副理事長玉井公子父 ・玉井 八平