♪ブーゲンビリア第95号(通巻162号)2012年11月号より
1747通。がん医療における「薬」ならびに「治験」に関するアンケート調査に記載していただいた皆様の声が届きました。1747通、毎日、毎日、我家のポストを見るのがとても楽しみでした。患者団体の皆様から、全国の友人、知人から、ブーゲンビリアの会員さんから、多数の患者さん、市民の皆さんお一人おひとりの貴重な声が届けられました。本当に、本当に有難うございました。心から感謝申し上げます。
充分に吟味する間もなくバタバタと仕上げ、配布し、回収したアンケートでした。
設立以来15年の間に新薬を待ちながら、36名の仲間たちが旅立ちました。
「国民が必要とする医薬品がそれを必要としている患者さんに一日も早く届きますようように」「日本発の医薬品の実用化がすすみますように」「キャンサーギフトの考え方のすそのが広がりますように」「そして、がんで亡くなる人がいなくなる社会になりますように」そんなみんなの思いや祈りを込めた「がんの治験についてのアンケート」でもありました。
このアンケートの作成・配布・回収・集計において、多くの皆様方にお知恵を借り、ご協力を頂き大変お世話になりました。本当に有難うございました。
また、東京大学医科学研究所附属病院 緩和医療科の岩瀬哲医師、東京大学大学院、情報学科佐倉研究室 技術補佐員の木原康太様には、多大なるご協力を頂きました、この場をお借りしまして、重ねてお礼を申し上げます。
秋の日はつるべ落としの言葉どおり、夕暮れ時には何となく心淋しく、家路に向かう足取りも気のせいか足早になります。
ふと、角を曲がると金木犀の香り・・・思わず立ち止り深い秋を感じています。中国渡来の植物らしく抹香のような香りはなんとなく神秘的で宗教性に満ち溢れた雰囲気を持っていて、秋の深まりと共に心静かな気持にさせてくれます。
現代医学の進歩や栄養に関する知識の向上と、そして、社会環境の整備のお蔭で飛躍的に寿命が延びました。また、人々の健康への意識の変化や医療費抑制の国策によって、健康寿命を大事にする考え方も一般的に浸透してきました。
しかし、一方で「生きることの質・その中身」が問われているのではないでしょうか。決して人は、生きている時間の長短ではなく、生きている意味や質を高めて、人生が充実感を伴わなければ、本当の意味でこの世に生まれてきて良かったとは言えないのかも知れませんね。
以前ブーゲンビリアの講演会で、人は120歳まで生きる可能性を遺伝子から保証されているのに自分自身で縮めてしまっているという講話を思い出しました。
私たちの身体は、非常にメカニックに出来ていて、それをコントロールしている最大のパワー物質が遺伝子だそうです。
人が「誕生・老いること・病気・死」というどうにも避けられない、そして私たち人間の意志ではどうすることも出来ないこと、それを決定づけているのか遺伝子であり、「遺伝子こそが意志」を持つ、と話されていたように記憶しています。
人を恨んだり、カッとして怒ったりすると、脳内にアドレナリンやノルアドレナリンの有害な物質が分泌され、1~3日ほど寿命がちじむのだそうです。 反対に好ましいと思う音や、好きな人からのほめ言葉や自然とのふれあい、家族愛、ペットのいやし等で心が喜び、脳内ホルモンが出て病気の回復も早まる事実は、皆様、実感されているのではないでしょうか。
お釈迦さまが、2600年ほど前に「こころが一切」と説かれたことは皆様の周知の事実ですが、宇宙の成り立ちや神のような超越的な存在に対して論じたのではないことに、私は、とても感動しました。
誰もが悩む普遍的な問題や思いどおりにならない人生の数々や「苦」に満ちたこの現実世界について語られているのは、何だかとても、素直にありがたい気がしました。今度、しっかりと仏教本や聖書を読んでみようと思っています。
お釈迦さまは、私たちに「人はいかに生きるべきか」「何が大切か」を悟れといわれています。肝心かなめのものとして「心のあり方・心の持ち方」の重要性を説かれ、誰かの心ではなく「自分自身の心が一切」でありすべての基本と説かれていますが、欲望や迷いの多いわが身、移ろいやすく怠けやすいわが身を反省し、神妙な気持になっている秋の夕暮れです。
健康と120歳(?)までの「長寿」と「幸せ」を手に入れる有効な手段があることを先人たちが具体的に教えてくださいました。
一日10分間、我欲を捨てて「地球の将来はどうなるのか」「宇宙や人類は何を今すべきか」「自分は今何をすべきか」等について、考える時間や瞑想の時間を持つことが、いのちをみなぎらせる大切な時間、そして何があっても「明るく」生きる事が幸せの近道だそうです。
「良心に従って良いと思うことを何でもやること」「自然をモデルに我欲をすてること」なのでしょうね。さわやかな生き方や社会貢献を目指してみんなで力を合わせていく生き方は、ブーゲンビリアの目指す「人間の尊厳を大事にした幸せな医療」の実現と同じ方向ですね。これからも、いのちをみなぎらせて、みんなで仲良く共に歩いていきましょう。
木の葉が次の世代にいのちをつなぐために、自分のいのちを真っ赤に燃やしているのだそうです。紅葉がひときわ美しくみえるのは、精一杯生きている証といえるのでしょうね。東京大学のキャンパスの銀杏並木は黄金色に染まっているのでしょうか。
大きな欅は秋色に染まっているのでしょうか。私たちも紅葉にも負けないくらい真っ赤な美しい、キャンサーギフトの輪を広げていきましょう。