絵子の縁側便り 6月号

2021年6月1日
内田絵子

どんよりとたちこめる梅雨空、待ちわびていた雨を受けとめあでやかに咲く紫陽花。そんな雨の合間に少し明るく感じられる時があります。これが「梅雨明かり」とか。暗い日が、続くからこそささやかな光に気づくことが出来るんですね。
 水の恵みをもたらす雨は、水源を潤し、全生物に生命を与えます。山河に降り注いだ雨は一滴の清い水となって流れ、川となり、里を下りて畑を潤し、稲を育て美味しいお米の恵みを与えてくれますから、日本は本当に水に恵まれた美しい国だと思います。
 これからも感謝をしながら水を大切に、水文化を育て、生活に利用していきたいものですね。
四季折々の美しい日本列島・・・「雨の日もよし」と、時には雨の降る音を静かに聴いてみると、しんみりと心が落ち着いて潤い豊かな情感が湧き出てくるような気がしてきます。

語学や音楽のように早期の教育が望ましい分野がありますが、年齢を重ね、人生経験を経ることでじっくりと延ばしていける才能があります。その一つが「喜ぶ」という才能だといわれていますが、皆さんの「喜ぶ才能に・喜びを見つける才能」は、開花されていますでしょうか。使えば使うほど喜びの才能は開花するとか。辛い時に、失敗や落ち込む事態に遭遇した時こそ、「雨の日は、雨の音を聞きつつ、風の日は、風の音を聞きつつ、あるがまま受け入れ、喜んで生きる」と、先人たちの思いを引継ぎ、心を落ち着かせ「全てを丸ごと受け入れ、そこに喜びを見出す」こと平凡な生活の中でこそ「喜びを見出す才能に磨きをかけ」ること。さらには人生を俯瞰し、まさか、まさかの坂ばかりの人生を面白がることこそ、喜びを見つけるカギであり、人生の達人の心境に近づける早道かもしれませんね。

「縁って、不思議で面白いですよ。やっぱり人間は何かの縁で結ばれているんですよ」と、語る佐橋慶女さんは、新聞記者を経て日本初の女性だけの会社を立ち上げた起業家であり、文筆家、在家の僧侶等など、好奇心と実行力で内外縦横無尽に旅を重ねる姿は行動する探究者と形容されている女性でもあります。何があっても受けて立つの心意気で人生と向き合い、辛い時こそ喜んで人生を丸ごと受け入れ、90歳を越えても自宅近くの割烹で2合のお酒を楽しむ日々を過ごされたとか。そんな慶女さんの「歳をとったら自分の好きなことをやって、人のためになればいいんです」の言葉には、迫力と説得力があります。
最期は人のために少しは役立つてと願うことが、喜びや幸せになる近道で、魔法の言葉だと示唆してくれているのではないでしょうか。慶女さんの奥深い言葉の力に、喜びも驚いて「喜びが、喜びごとを、喜んで、喜び連れて、喜びに来る」と・・・・喜びが束になってやってくる魔法の言葉かも知れませんね。