絵子の縁側便り

絵子の縁側便り　5月号

2021年5月1日
内田絵子

 新緑がまぶしい季節、ひとつ一つの葉が五月の日差しを受けていきいきと輝き・・・枝はたくさんの葉を茂らせ、まるで大きな手を広げて私たちを包んでくれているようです。
 青葉、若葉のグラディ―ションが楽しみな季節でもあります。葉と葉が重なり合って茂っている様子を「結び葉」「思い葉」などと形容されますが、葉っぱが結ばれたように、葉っぱ同士が思い合っているようにみえるのは、私たち人間も自分自身の色を深めながら多くの人と出会い、手をつなぎあって生きていく様は「結び葉・思い葉」の姿と重なりますね。
 四季の移ろいを美しく伝え、人への思いやりを伝える美しい日本語に心が癒されます。

 陽光うららかな日差しとは裏腹に、長引くコロナ禍で、皆さんのメンタルヘルスに大きな影響が出てくる頃ではないでしょうか。コロナ自粛生活の中、日々心も体も負担が大きいこととお察し致します。心と体はひとつながり、心が動くと「打てば響く」ように体の状態も変化するといわれていますものね。皆さん体調崩されていませんでしょうか。

 こんな閉鎖的な感覚の日々に思い出されるのが、良寛さまの「災難にあう時節には災難にあうがよく候」の言葉です。また、宗教学者の町田宋鳳(そうほう)さんの唱える「おまかせの心」という言葉です。宇宙のリズムにあった「大いなるいのち」の存在にすべておまかせ、時には「人生の受け身」の気持ちも大事かもしれないと・・・・コロナ禍で実感することが多くなりました。
 こんな時こそ、スマイルがあなたを幸せにしますの格言ではありませんが、笑顔で乗り切りたいと作り笑顔で、なんとか日常をこなしています。せめてもと、念入りにガラスをピカピカに磨きあげ、窓を開け爽やかな五月の日差しに深呼吸・・すると、新しい季節の空気が、体中に満ちて元気になれるような気がして・・・心まで軽くなったような気がします。

 4月24日～4月30日は「世界予防接種週間」でした。2021年のスローガンは「ワクチンは、私たちをより身近にする」です。このテーマに沿って、世界予防接種週間では、予防接種が私たちにとって最も重要な人々、目標、そして瞬間といかに結びついているかを示し生涯を通じて、あらゆる場所で、全ての人の健康を向上させようと手助けをしています。

｢WHOでは、健康・社会・経済・教育への影響を考慮した際に、ワクチン接種が最も費用対効果の高い公衆衛生学的な介入であると述べています。　　～　略 　～
2020年11月上旬の時点において、新型コロナウイルス感染症は、約120万人の命を奪うとともに、世界的な経済および、社会の混乱を引き起こしています。
その終息に向けて、有効な治療方法の確立と共に有効で安全なワクチンに対する期待が世界的に高まっています。　　　～　　略　　　～
予防接種ワクチン政策に関して、社会の関心が高まる中で、国民一人一人が予防接種で享受する個人と社会に対する価値を理解し認識することが重要であると考えています。
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予防接種・ワクチン政策推進プロジェクトグローバル専門家会合より　抜粋

 病気に対する治療、「原因があって結果がある、原因を取り去る方法が治療である」という考え方だけでは、医療は成り立たなくなってきています。なぜなら現代の疾病の多くは、人間の生活様式の変容や人間的な成長に迫らないと解決が難しいという側面があるからでしょうか。また、医療・社会が多様化・複雑化している中で、医療の役割、患者団体の役割も変化してきています。医療や福祉の仕組みの変化に応じ当事者である患者・家族の立場からの情報発信は必要不可欠であり、当事者を支える専門的な方や行政関係者、医療者の方々等のステークホルダーとの横のつながりつくり、国際交流や研究開発等と、どう有機的に効率的に結びついていくかという視点を持つことが、患者・家族、患者団体としても益々重要となってきているのではないでしょうか。

 「患者ファースト」の医療と同時に、患者自身も正しい医療情報の取り入れ方が重要なキーワードであることを知るべきかと思います。患者力に磨きをかけることが重要なポイントですね。「患者力・患者セルフマネージメント力」25年のブーゲンビリアの活動の中で、繰り返し学び合ったことですね。これからも基本を忘れずよい医療を作っていきましょう。

 患者が、自身の「知・情・意」を見て自分自身の「今、心のアンバランス」があるのではないか、あるいは「ライフスタイルを含めた自身の人生の価値観を再確認」等の心や生活のアンバランスに気づく客観的な視点をもつことも病気を改善する近道かもしれませんね。

 5月の青空に高く泳ぐこいのぼり。再会を楽しみに今日も元気に過ごしましょう。
 根源的ないのちの力は、私たちが私たちらしく生きることを願っているのだと思います。